「クリスマス」と聞いて思い浮かべるのは、
雪、イルミネーション、寒い空気、静かな街並み……。
私はこれまで、ヨーロッパやニュージーランドのクリスマスシーズンを経験してきました。
どちらも印象的でしたが、
フィリピンのクリスマスはまったく別世界でした。
今年初めてクリスマスシーズンのフィリピンに行きましたが行ってびっくり!!
一言で表すなら、
とにかくカラフルで、人が近いクリスマス。

フィリピンから帰国したばかりのハポンが、
実体験をもとに、フィリピンならではのクリスマス文化を紹介します。

フィリピンのクリスマスは9月から始まる
フィリピンでは、
9月に入るとすぐにクリスマスムードが始まります。
いわゆる「-ber months(September〜December)」。
まだ暑いのに、
モールではクリスマスソングが流れ、
飾り付けも一気に増えていきます。
日本人からすると
「まだ9月だけど?」と思ってしまいますが、
これがフィリピンでは普通です。
星型ランタン「パロル」が街中にあふれる
フィリピンのクリスマスを象徴するのが、
星型のランタン「Parol(パロル)」。
街灯、家の前、モールの天井など、
本当にあちこちで見かけます。
実はこのパロル、
ワークショップで手作りする文化もあるそうです。
私は実際に参加したことがありますが、
フィリピン人の知人によると、
地域や時期によっては、
誰でも気軽に参加できるワークショップが開かれることもあるとのこと。
材料はとてもシンプルで、
- 竹で作ったフレーム
- 和紙(またはそれに近い紙)
を使い、意外と簡単に作れるそうです。
派手に見えるパロルですが、
もともとは身近な素材で作られ、
家族や地域で楽しむ、
とても温かい文化なのだと感じました。
街路樹に吊るされていたり、家に吊るされていることが多いですが、パロルのツリーも。

イエス・キリスト誕生の場面を再現した飾りもあちこちに
フィリピンのクリスマスで印象的だったのが、
イエス・キリストの誕生の場面を再現した飾りを、
本当にあちこちで見かけたことです。
- 家の中
- 教会
- モールや図書館などの公共の施設の一角
には、
マリアとヨセフ、そして飼い葉桶の中の幼子イエス、
羊や天使たちが並んだ飾りが置かれています。
ヨーロッパでも教会で見かけたことはありましたが、
フィリピンではもっと日常の中に溶け込んでいる印象でした。
派手でカラフルな装飾の一方で、
こうした飾りを見ると、
フィリピンのクリスマスが
単なるイベントではなく、信仰に根ざした行事なのだと実感します。

巨大すぎるモールのクリスマスツリー
フィリピンの生活の中心はショッピングモール。
そのモールに置かれるクリスマスツリーの大きさには驚かされます。
- 天井まで届くサイズ
- 吹き抜けいっぱいの装飾
正直、
「これはアメリカの影響かな?」
と思うほどのスケール感。
写真を撮る人も多く、
ツリーは完全に街の主役です。
ヨーロッパでは外でのクリスマスマーケットで、そこに大きなツリーがあることが大きですが、
フィリピンはツリーもバザールもモールの中で。涼しくて快適ですね。


常夏の国なのに雪だるま?不思議なデコレーション
フィリピンは一年中ほぼ夏。
それなのに街には、
- 雪だるま
- 雪の結晶
- 分厚いコートを着たサンタ
- ソリ
といった、完全に「冬のクリスマス」モチーフがあふれています。
ニュージーランドでは、
半袖でサーフィンしながら迎えるクリスマスを経験していたので、
この光景はかなり不思議に感じました。
同じ夏のクリスマスでも、
ニュージーランドは「夏らしいクリスマス」。
一方フィリピンは、
暑くてもイメージはあくまで“雪のクリスマス”。
常夏の国だからこそ、
雪への憧れが強いのかもしれない——
そんなことを考えたりもしました。
実際、お店には
半袖の薄手のシャツなのに、
雪だるまやサンタがプリントされた服が並んでいます。
暑さと冬のイメージが同居する、
とても不思議で面白い光景でした。

クリスマスは居酒屋で忘年会、ではない
日本では年末になると、
居酒屋で忘年会、という人も多いと思います。
でもフィリピンのクリスマスは違います。
誰かの家に集まって行うポットラック形式のパーティ。
参加者それぞれが、
- 料理
- デザート
- 飲み物
を持ち寄ります。
食べきれないほどの料理、そして持ち帰り
テーブルには、
「これ何人分?」と思うほどの料理が並びます。
そして必ずと言っていいほど、
料理は余ります。
でもフィリピンでは、
余った食べ物は当たり前のように、
- タッパーに詰めて
- 「これも持って帰って」と渡される
時には、
ビニール袋に入れて渡されることも。
最初は少し驚きましたが、
これは失礼でも手抜きでもなく、
「分け合う」文化の表れ。
パーティは、
家に帰ってからも続いているような感覚でした。
ツリーの下にあふれるプレゼント
今回、私はフィリピン人の知人宅に泊めてもらいました。
家に入って驚いたのが、
クリスマスツリーの周りに山のように積まれたプレゼント。
量が本当にすごく、
思わず二度見してしまいました。
中身を聞くと、
- お菓子
- コスメ
- アクセサリー
- 日用品
などさまざま。
高価なものより、
たくさん用意して、たくさん渡す
そんな文化を感じました。
用意されていたプレゼント
そして驚いたのが、
私自身にもプレゼントが用意されていたこと。
いただいたのは、
- ストール
- バッグ
でした。
それでも、
「もうすぐ帰る外国人の私にも、ちゃんと用意してくれていた」
その気持ちがとても嬉しく、心に残っています。
13ヶ月目の給料が支えるクリスマス文化
フィリピンには、
**「13th month pay(13ヶ月目の給料)」**という制度があります。
これは法律で定められており、
年末に1ヶ月分相当の給料が支給されます。
この制度があるからこそ、
- 盛大なパーティ
- たくさんのプレゼント
- 家族や親戚との集まり
が当たり前のように行われているのだと感じました。
フィリピンのクリスマスで感じたこと
ヨーロッパ、ニュージーランド、フィリピン。
同じクリスマスでも、
国が変わるとここまで違うのかと驚かされます。
フィリピンのクリスマスは、
- 派手で
- にぎやかで
- 人との距離がとても近い
そんなクリスマスでした。
留学やワーホリ、海外生活に興味がある人にとって、
季節行事を通して文化の違いを体感することは、
きっと忘れられない経験になると思います。
常夏の国で迎える、
雪だるまとサンタと人の温かさにあふれたクリスマス。
フィリピンらしい、不思議で楽しい時間でした。