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「カタカナの呪い」を解く鍵はフォニックスだった|学校では教わらない英語の音の話

今回は、日本語と英語の違いを知りながら、「カタカナの呪い」とフォニックスについて! 英語の発音に悩む方の必見記事です。

以前の記事「【凡人の逆転劇】入試英語42点、ハリー・ポッターと『あつ森』で洋画を字幕なしで楽しめるようになった私のサバイバル英語学習歴」では、学校英語が苦手だった私が、好きなものを原動力に英語を身につけてきた過程をご紹介しました。その記事の中で、「幼少期にフォニックスを学んでいたことが、後に『ハリー・ポッター』の原書を読む助けになった」と少し触れました。

今回は、そのフォニックスについてもう少し掘り下げてみたいと思います。

実は、日本人が英語の発音やリスニングで苦労する原因の多くは、「耳が悪いから」でも「センスがないから」でもありません。
私たちが普段使っている日本語の音のルールが、英語を理解するときに大きく影響しているからです。
言語学では、このような現象を母語干渉(ぼごかんしょう)と呼びます。

しかし、母語干渉は悪者ではありません。

実は英語では弱点になる日本語の特徴も、他の言語では大きな武器になることがあります。それでは私たちはどうしたら正しい発音を身につけられるのでしょうか。日本と英語を分析しながら考えていきたいと思います。


カタカナ英語は悪者ではない

まず最初にお伝えしたいことがあります。私は「カタカナ英語は間違っている」と言いたいわけではありません。むしろ、日本語としては非常に自然な発音です。

例えば、

  • スターバックス
  • マクドナルド
  • コンピューター
  • テレビ

これらは英語を日本語の音の仕組みに合わせて取り入れた言葉です。日本人同士が会話するなら、むしろこちらの方が自然でしょう。問題になるのは、「英語を話す場面でも日本語のルールで英語を読んでしまうこと」です。これが私の考える「カタカナの呪い」です。


日本語と英語では音の単位が違う

日本語はモーラ(拍)を基本単位とする言語です。

例えば
た・な・か
ね・こ
さ・く・ら
は、一文字ずつ読めば自然な日本語になります。

ひらがなは、基本的に書かれた通りに読めば成立する、とても規則的な文字です。

一方、英語は違います。
英語は音素(phoneme)という音の単位を組み合わせて言葉を作ります。

例えば
cat
という単語。

英語では
/k/ /æ/ /t/
という3つの音からできています。

ところが、日本語には子音だけを独立して発音する仕組みがほとんどありません。


そのため、日本人は無意識に
「キャット」
という日本語の音へ変換してしまいます。


これは間違っているのではありません。日本語の音のルールに従えば、ごく自然なことなのです。


母音を足してしまう「カタカナの呪い」

同じことは、

  • milk → ミルク
  • strike → ストライク
  • glass → グラス

でも起こっています。

英語では

str
/s/ /t/ /r/

と子音が続いても発音できます。しかし、日本語では

ス・ト・ラ

のように母音を補わなければ発音しにくくなります。

つまり私たちの脳は、英語を聞いているつもりでも、日本語の音へ変換しながら理解しているのです。


身近な商品名でも同じことが起こっている

例えば

Starbucks

日本では「スターバックス」と呼びます。しかし英語では「スター・バックス」というより、一連の流れの中で発音されます。

McDonald's

も同じです。

日本語では

マ・ク・ド・ナ・ル・ド

と一拍ずつ区切りますが、英語ではアクセントや音のつながりが全く違います。

つまり、「スターバックス」「マクドナルド」は間違った英語ではなく、日本語として発音しやすくしてしまっているのです。


日本語にも実は複数の「ん」がある

「日本語には m や n の音がない」と思われることがありますが、実はそうではありません。

例えば

パン

の「ん」は唇を閉じるため m に近い音になります。

みんな

では n に近い音になります。

りんご

では「ング」の鼻音に近い音になります。

つまり、日本語話者も無意識のうちに複数の鼻音を使い分けています。しかし、それらを区別する必要がないので、すべて「ん」として認識しています。一方、英語では mn は意味を区別する別の音です。だから日本人は m と n の違いを意識する習慣がなく、聞き分けや発音に苦労しやすいのです。


英語だけが特別難しいわけではない

ここで少し面白い話を。

英語では弱点になる日本語の音の特徴ですが、他の言語では逆に武器になることがあります。

例えばイタリア語。イタリア語やスペイン語は英語よりも文字と音の対応が規則的で、日本語と同じように子音と母音の組み合わせが多い言語です。そのため、日本人は英語よりも比較的発音しやすいと言われています。

つまり、母語干渉は悪いものではありません。どの言語を学ぶかによって、長所にも短所にもなるのです。


私がフォニックスをすすめる理由

では、この「カタカナの呪い」をどうすれば少しずつ解けるのでしょうか。私がおすすめしたいのがフォニックスです。フォニックスとは、文字と音の関係を学ぶ学習法です。

例えば

  • c は e・i・y の前では /s/ になることが多い
  • それ以外では /k/ になることが多い
  • silent e は前の母音を長母音にする
  • sh や ch は2文字で1つの音になる

こうしたルールを知ることで、

初めて見る単語でも「たぶんこう読むんだろう」と予測できるようになります。もちろん英語には例外もあります。それでも、一語一語丸暗記するより、ずっと効率よく読む力が身につきます。


発音記号も大切。でも役割は違う

英語の先生の中には、辞書に載っている発音記号を重視する方もいます。
私も、発音記号が不要だとは全く思いません。
発音記号(IPA)は国際音声記号なので、英語だけでなく、オランダ語やフランス語など、他の外国語を学ぶ際にも非常に役立ちます。

ただ、現在はオンライン辞書やAI、動画サイトなどで、ネイティブの発音を簡単に聞ける時代です。だからこそ、「この単語はどう読むのか」だけではなく、「なぜそう読むのか」を理解することの価値が以前より高くなっていると感じています。

だからこそ、土台になるのがフォニックスです。フォニックスは英語の綴りと音の関係を体系的に教えてくれます。

例えば、

  • c は e・i・y の前では /s/ になることが多い
  • それ以外では /k/ になることが多い
  • silent e が前の母音をアルファベット読みにする
  • sh や ch は2文字で1つの音になる

このようなルールを知っていれば、初めて見る単語でもある程度発音を予測できます。

もちろん英語には例外もあります。しかし、アルファベットを一文字ずつ読むのではなく、「英語はこういうルールで読まれる言語なんだ」と理解できるようになることは、学習の大きな助けになります。

発音記号とフォニックスは対立するものではありません。辞書で正確な発音を確認するときには発音記号を、英語を読めるようになるための土台づくりにはフォニックスを。目的の違う、互いを補い合う学習法なのです。


私とフォニックス

私が初めてフォニックスに触れたのは、子どもの頃に通っていた英会話教室でした。当時は歌やゲーム、絵本を通して自然に英語を覚えていたので、「フォニックスを勉強している」という感覚はありませんでした。

しかし、中学生になって授業で改めて体系的に学び直します。

その時に使っていた教材がアクティブフォニックスでした。

New Active Phonics:

https://www.mpi-j.co.jp/c/item/1790/?srsltid=AfmBOop_kEC4QXyt5e6H4Y1v3eP_am-sSuGr4YiNhffDrvJDdH5yuswv

学校英語は正直あまり好きではありませんでした。単語テストは再試験の常連でしたし、スペルを書くのも苦手でした。
でも、フォニックスの授業だけは違いました。感覚で覚えていたことが、「だからこう読むのか」と一つのルールにつながっていく感覚がありました。

特に、

  • c が /k/ と /s/ を使い分ける理由
  • silent e の働き

などを体系的に学べたことで、「読める単語」が一気に増えたことを今でも覚えています。
そのため現在も私のレッスンではこのテキストを使っています。

そして、この「読める」という感覚が、中学2年生で『ハリー・ポッター』の原書に挑戦する勇気につながりました。
前回の記事でも書いたように、あの本は辞書を引きながら何度も読み返し、最終的にはページが膨らんでしまうほど使い込みました。

もしフォニックスで「初めて見る単語でもある程度読める」という土台がなければ、あそこまで読み続けられなかったと思います。


洋楽は最高の「耳コピ教材」

私はフォニックスと同じくらい、洋楽もおすすめしています。「シャドーイングが効果的」とよく言われますし、それは間違いありません。
ただ、正直なところ、単調で続かない人も多いのではないでしょうか。その点、好きな洋楽なら何十回でも聴けます。

もちろん歌なので会話とは違う部分もあります。

それでも、英語の歌には

  • 強弱のリズム
  • リンキング
  • リダクション

など、英語らしい音の特徴がたくさん詰まっています。

例えば、私は歌詞を「チェック・イット・アウト」と文字で読むのではなく、耳に聞こえた音をそのまま真似することをおすすめしています。

英語は文字から入るより、まず音を好きになること。それが、カタカナの呪いを少しずつ解いてくれる近道だと私は思っています。

私は英語以外の外国語にもこの方法を使っています。まだ初級の言語で、カラオケで歌って友達をびっくりさせたことも。隠し芸にもなりますね(笑) 特に海外の友達とカラオケに行く時は重宝します。


おわりに

前回の記事では、「好きなものを英語で楽しもう」と書きました。今回は、その楽しさを支えてくれたフォニックスについてお話ししました。英語は、アルファベットを読む言語ではありません。文字と音のルールを読む言語です。

フォニックスでそのルールを知り、好きな映画や洋楽で実際の音に触れる。

この二つを繰り返すことで、英語は少しずつ「暗記する教科」から「読める・聞ける言語」へと変わっていきます。

現在、私は英語を教える立場になり、中学生の頃に自分が学んだアクティブフォニックスを授業でも使っています。生徒たちが「先生、この単語読めた!」と笑顔になるたびに、中学生だった頃の自分を思い出します。

私の英語学習の経験について読みたい人はこちらから

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